【 エスコート 】


 
―3―




 なにしてやろうか俺がニヤニヤ考えていると、鈴原が動いた。

 動いたと言っても、居心地悪げに身じろぐ程度。

「…というかね、そろそろ腕下ろしてくれないかな?」

「はぁ?」

 鈴原は回された腕を自ら跳ね除けはしなかった。

 つーか、まるで逃げたら負けだとでもいいたげだな…

 どこまでも挑戦的な女。

 いっつも俺に対しては頑ななまでに対抗しやがるんだよな、コイツ。

 引き攣った表情の鈴原が肩に乗せたままの俺の腕を指差す。

「すっごく邪魔だか…」

「あぁ?」

 グイっと顔を寄せ、間近ですごむ。 

 最後まで言わすかよ。この俺の腕が邪魔だと?

「…じゃなくて重いのよ、だから下ろして! それと近すぎ、顔近いから…」

 鈴原は限界まで首を逸らして遠ざかる。

 それでも負けたくないらしく、自分から腕を退かそうとはしない。

 バカかコイツ?

 しかも、こんな事で動揺すんなよ…

「重いってオマエは四十肩か?」

「しじゅ…そんなわけ無いじゃない!!私はコレでも十だ…」

「じゅうだ?」

「…と、とにかく、重いから下ろして!」

 なに言いかけたんだ?

 ま、いいか。

「しゃーねーな、下ろしゃいいんだろ?」

 見るからにホッとした表情見せんじゃねーよ!

 嫌がられてるの分かっててもムカつくぜ。

 いや待て、嫌がらせする気なんだからいいんだけどよ…

 でもやっぱイラ付く。

「九条くん?」

「…はいはい下ろせばいんだろ下ろせば…ほらよっと」

 俺は鈴原の肩に回していた腕を下ろす。

「!!!!!!!」

 言葉通り腕を下へ移動してやった。

「なっ、なっ、なっ…」

 肩から下ろし、下ろした位置にある腰に腕を抱く。

「これで重くねーよな、センセ?」

 当然の様に腰へ回された腕に、鈴原は言葉を無くした。

 クックックッ、バカが、素直に解放するかっつの!

 はじめっから手放す気なんてねーんだよ。

「どーしたよ、顔、真っ赤だぜ?」

 さっきからずっとカマトトぶってるわけでもねーよな。

 どれもこれもマジ反応にしか見えねーし…

「ちょ、放しっ…っというか九条くんなにっ…」

 慌てすぎ、マジでパニクってやがる。

 これで成人、かなり有り得なくね?

「なぁ…おまえマジで成人してんのかよ?」

「えっ!?」

 わたわた焦っていた躰がビクッと跳ね、ピタリと止まる。

 腰に腕を回しているせいで、ダイレクトに反応が伝わった。

「……?」

 なんだこの過剰反応…

 普通に「教師なんだから当然でしょ」とかって返されると思ってたぜ。

 つか俺の方が驚くだろうが。動揺しすぎ。

「ど…して…そんな事を思ったのか…な?」

 つか顔色真っ青。

 なんなんだコイツ????

「ガキ臭いんだよオマエ、どうしたって俺より年上とは思えねー」

「そ、そんな事ない…わよ?」

 疑問系かよ!

 マジ怪しくねーか?

「………」

「………」

 疑惑の眼差しを向けていると、鈴原の頬に目が行った。

 ふにっ。

「っ!!」

 柔らかい。思わず空いた方の手を持ち上げて触れていた。

「………」

 気まぐれを起こし、そのまま邪魔な眼鏡に指をかけそっと外す。

「ちょっ、く、九条くん????」

 その顔を間近で見るてみると、思ってた以上に幼さなく感じる。

 この大人向きなメイクを取り去ったらどんな感じなんだ?

「か、返してよ私の眼鏡…」

 鈴原は相変わらず引き攣った笑顔で動揺していた。

 それでも頬が紅潮している。

 マジで年上には思えない反応。

 なにもかもがアンバランスな女。

 だからイラつくのにいつも目が離せな…

「………は?」

 目がなんだって?

「だから、眼鏡を…」

 そんな分けねぇーだろうが!!

 ぜってーありえねぇー!!

 ブンブンと首を振りつつ自分の思考を振り払う。

「そんな…ちょ返してもらわないと困るよ」





 ざわざわ…

 店内が急に騒がしくなり、俺はハッとする。

 思わず一人の世界に行っちまってたぜ。

 そのまま有り得もしない思考の迷宮に迷いこむ所だった。

 覚醒を促したざわ付きは、瞬く間に店全体に広がり…

「なんだよ?」

 ったく、うるせーな!

 俺が店内を見回す。

 そこには…











実際、祥慶祭で九条はホストをやったのかな?(笑)
一哉くんのクラスがホストクラブで、一哉くん不参加は事実だけど…
やっぱり九条はクラス出展に参加って柄じゃないしな。
当日学園内には居たけど、やっぱり何もしてなさそう。

…分かってる。分かってるよ!
こんなお話し(上記駄文)設定的にも有り得ないって事くらい!
でも妄想くらいイイじゃないか…。(開き直り?)
九条スキーで可哀そうな私を笑うがいいさ!(ナニゴト?逆切れ?)


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