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なにしてやろうか俺がニヤニヤ考えていると、鈴原が動いた。 動いたと言っても、居心地悪げに身じろぐ程度。 「…というかね、そろそろ腕下ろしてくれないかな?」 「はぁ?」 鈴原は回された腕を自ら跳ね除けはしなかった。 つーか、まるで逃げたら負けだとでもいいたげだな… どこまでも挑戦的な女。 いっつも俺に対しては頑ななまでに対抗しやがるんだよな、コイツ。 引き攣った表情の鈴原が肩に乗せたままの俺の腕を指差す。 「すっごく邪魔だか…」 「あぁ?」 グイっと顔を寄せ、間近ですごむ。 最後まで言わすかよ。この俺の腕が邪魔だと? 「…じゃなくて重いのよ、だから下ろして! それと近すぎ、顔近いから…」 鈴原は限界まで首を逸らして遠ざかる。 それでも負けたくないらしく、自分から腕を退かそうとはしない。 バカかコイツ? しかも、こんな事で動揺すんなよ… 「重いってオマエは四十肩か?」 「しじゅ…そんなわけ無いじゃない!!私はコレでも十だ…」 「じゅうだ?」 「…と、とにかく、重いから下ろして!」 なに言いかけたんだ? ま、いいか。 「しゃーねーな、下ろしゃいいんだろ?」 見るからにホッとした表情見せんじゃねーよ! 嫌がられてるの分かっててもムカつくぜ。 いや待て、嫌がらせする気なんだからいいんだけどよ… でもやっぱイラ付く。 「九条くん?」 「…はいはい下ろせばいんだろ下ろせば…ほらよっと」 俺は鈴原の肩に回していた腕を下ろす。 「!!!!!!!」 言葉通り腕を下へ移動してやった。 「なっ、なっ、なっ…」 肩から下ろし、下ろした位置にある腰に腕を抱く。 「これで重くねーよな、センセ?」 当然の様に腰へ回された腕に、鈴原は言葉を無くした。 クックックッ、バカが、素直に解放するかっつの! はじめっから手放す気なんてねーんだよ。 「どーしたよ、顔、真っ赤だぜ?」 さっきからずっとカマトトぶってるわけでもねーよな。 どれもこれもマジ反応にしか見えねーし… 「ちょ、放しっ…っというか九条くんなにっ…」 慌てすぎ、マジでパニクってやがる。 これで成人、かなり有り得なくね? 「なぁ…おまえマジで成人してんのかよ?」 「えっ!?」 わたわた焦っていた躰がビクッと跳ね、ピタリと止まる。 腰に腕を回しているせいで、ダイレクトに反応が伝わった。 「……?」 なんだこの過剰反応… 普通に「教師なんだから当然でしょ」とかって返されると思ってたぜ。 つか俺の方が驚くだろうが。動揺しすぎ。 「ど…して…そんな事を思ったのか…な?」 つか顔色真っ青。 なんなんだコイツ???? 「ガキ臭いんだよオマエ、どうしたって俺より年上とは思えねー」 「そ、そんな事ない…わよ?」 疑問系かよ! マジ怪しくねーか? 「………」 「………」 疑惑の眼差しを向けていると、鈴原の頬に目が行った。 ふにっ。 「っ!!」 柔らかい。思わず空いた方の手を持ち上げて触れていた。 「………」 気まぐれを起こし、そのまま邪魔な眼鏡に指をかけそっと外す。 「ちょっ、く、九条くん????」 その顔を間近で見るてみると、思ってた以上に幼さなく感じる。 この大人向きなメイクを取り去ったらどんな感じなんだ? 「か、返してよ私の眼鏡…」 鈴原は相変わらず引き攣った笑顔で動揺していた。 それでも頬が紅潮している。 マジで年上には思えない反応。 なにもかもがアンバランスな女。 だからイラつくのにいつも目が離せな… 「………は?」 目がなんだって? 「だから、眼鏡を…」 そんな分けねぇーだろうが!! ぜってーありえねぇー!! ブンブンと首を振りつつ自分の思考を振り払う。 「そんな…ちょ返してもらわないと困るよ」 ざわざわ… 店内が急に騒がしくなり、俺はハッとする。 思わず一人の世界に行っちまってたぜ。 そのまま有り得もしない思考の迷宮に迷いこむ所だった。 覚醒を促したざわ付きは、瞬く間に店全体に広がり… 「なんだよ?」 ったく、うるせーな! 俺が店内を見回す。 そこには… |