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「卒業おめでとう、みんな証書は受け取ったな?」 ありがたくもない担任からの最後の挨拶を、俺は適当に聞き流す。 このHRが終わった後は御堂の所のパーティーのみ。 くっだらねーと思っていた学園とも、これで綺麗サッパリおさらばだ。 ま、アイツが居なきゃ卒業なんか出来なかっただろうが… 「こんなモンの為に、なんであんなに頑張れるんだろうな?」 手には卒業を証明する紙切れが一枚。 ちゃんと俺の名前が書かれてる。 過去に何枚か貰った事あるけど、こんなにじっくり見た事は無かった。 「アイツと出合った証しみてーなもんか…」 これ、見せたらアイツはどんな顔すんだろうな? 馬鹿みてーに嬉しそうな顔で笑いそうだ… 「けっ、馬鹿馬鹿しい」 俺はその紙キレを適当に丸め、筒に押し込む。 もう二度と手に取ることはないだろう。 「アイツと関わる事も、もう無い…だろうな」 あんなお節介に出会う事も、もう無さげだ。 っつか、あんな奴がそうそう居るとも思えねーし。 ただ次に、もしもあんな馬鹿な奴に出会う事があるとしたら… 「今度はぜってー逃げたくねーよ」 勝負する資格の無い奴にだけはなりたくねー。 まぁ…馬鹿はもう卒業だ、俺も少しはまともな男になってやるさ… できるならオマエとは、違う形で出会いたかったぜ。 「ま、こんな関わりも悪かーなかったけどよ」 馬鹿な女だったけど、悪くねー女だった。 アイツと関わったこの一年余りを思い出すと、自然と笑いがこみ上がる。 「ぷっ、ははっ…クククッ。あーあ惜しい事した」 今思うと後悔は沢山ある。 もっと素直に楽しんでりゃーよかったとも思う。 そんな事を思える自分を、誰が予測できただろうか? なんだか変に清々しい気分だ。 突然楽しそうに笑い出した俺に、長々と語っていた担任が瞠目した。 「九条? …なにが惜しかったって?」 「…別に」 「そ、そうか…というかオマエは最後くらい静かにしててくれ、折角卒業できるんだから」 この男とはちゃんと向き合って来なかった。 でも悪い奴じゃ無いのかもしれない。 なんだかんだ言って、俺に積極的に関わる事は無かったけど、避ける事も無かった気がする。 「アンタもさ、もちっとガツンと心に届くこと言えるよーになれよ」 「あ?」 卒業証書の筒を手に立ち上がる。 俺の勝手な行動はクラスも担任も慣れたモノだ。 「話長すぎ、もう終わろうぜ」 「………オマエなぁ」 「っつーか、アンタもまぁ悪くなかったぜ、じゃーな」 俺は一年間通った教室を未練も無く後にする。 廊下に出た瞬間、教室内がザワザワっと騒がしくなった。 悪くなかったなんて事を、俺が言い残すとは誰も思っていなかったんだろう。 少しずつだ。 一歩ずつでいい、俺の歩調で変わればいい。 焦る必要なんてねー。 オマエがそう教えてくれたんだ。 な、そうだろ? 【END】 |