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「あっ先生、またそんな所でサボってる」 木漏れ日の下、ネコを膝の上に乗せた金澤紘人が大きく口を開けて欠伸をしていた。 「んー、日野か…どーした?」 「どーしたじゃないですよ」 「まぁ気にすんな」 「もう…」 校舎裏にある森林公園では、いつものように生徒達が思い思いの時間を過ごしている。 「で、お前さんは練習か?」 「はい、今日は天気もいいし、ココが気持ちよさそうだなって」 「確かになぁ、眠くなるくらいに気持ち良いぞ、それは俺が保障する」 「そんな事を保障されても…くすっ」 「どうだ、なんならここで子守歌変わりに一曲弾いてくか?」 金澤はニヤリと笑いながら香穂子のヴァイオリンケースを指差した。 「でも先生、私が弾かなくったって、さっきまで眠りそうでしたよ?」 「ははっ、違いない」 「でも聴いてもらおうかな、いいですか?」 「あぁいいぜ、聴くくらいなら幾らでも」 香穂子は嬉しそうに微笑むと、ケースからヴァイオリンを取り出す。 心地よいそよ風と陽だまり。 大好きな人と過ごす至福の一時。 「先生、リクエストはありますか?」 「うーん、そうだな…」 金澤はふと瞳を細める。 「お前さん、当ててみるか?」 ― 数メートル離れた場所 ―
「なんだかなぁ」 「もうさ、かなやんが仕事サボってるのは良いさ」 「いや良くはないだろ」 「いや良いさ…でもアレはどーなんだ?」 「良いのかよ、ってか、どうと聞かれても…」 「幸せオーラってか、愛しい眼差しに満ち溢れてるっつか…」 「あぁ…隠そうともしてねーな」 「いやむしろ見せ付けときたいんじゃね?」 「………」 「………」 「一種の牽制?」 「まぁそんな所じゃねーの、もしくは威嚇変わりとか?」 「日野って密かに人気高いもんな」 「そうそう、しかもレベル高い奴等にな」 「一般レベルにも親しみやすいって人気だろ?」 「…老若男女問わずってか?」 「まぁ」 「………」 「………」 「もう諦めろよ、A」 「…お前もな、B」 A君とB君のように、涙を呑む人が後を絶たなかったりした… ― 了 ―
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